2/2/11

Toire no Kamisama



小3(しょうさん)の頃(ころ)からなぜだか
おばあちゃんと暮(とく)らしてた
実家(じっか)の隣(となり)だったけど
おばあちゃんと暮(とく)らしてた

毎日(まいにち)お手伝(てつだ)いをして
五目並(ごもくなら)べもした
でもトイレ掃除(そうじ)だけ苦手(にがて)な私(わたし)に
おばあちゃんがこう言(い)った

トイレには それはそれはキレイな
女神様(めがみさま)がいるんやで
だから毎日(まいにち) キレイにしたら 女神様(めがみさま)みたいに
べっぴんさんになれるんやで

その日(ひ)から私(わたし)はトイレを
ピカピカにし始(はじ)めた
べっぴんさんに絶対(ぜったい)なりたくて
毎日(まいにち)磨(みが)いてた

買(か)い物(もの)に出(で)かけた時(とき)には
二人(ふたり)で鴨(かも)なんば食(た)べた
新喜劇録画(しんきげきろくが)し損(そこ)ねたおばあちゃんを
泣(な)いて責(せ)めたりもした

トイレには それはそれはキレイな
女神様(めがみさま)がいるんやで
だから毎日(まいにち) キレイにしたら 女神様(めがみさま)みたいに
べっぴんさんになれるんやで

少(す)し大人(おとな)になった私(わたし)は
おばあちゃんとぶつかった
家族(かぞく)ともうまくやれなくて
居場所(いばしょ)がなくなった

休(やす)みの日(ひ)も家(いえ)に帰(かえ)らず
彼氏(かれし)と遊(あそ)んだりした
五目並(ごもくなら)べも鴨(かも)なんばも
二人(ふたり)の間(ま)から消(き)えてった

どうしてだろう 人(ひと)は人(ひと)を傷付(きずつ)け
大切(たいせつ)なものをなくしてく
いつも味方(みがた)をしてくれてた おばあちゃん残(のこ)して
ひとりきり 家離(かはな)れた

上京(じょうきょう)して2(に)年(とし)が過(す)ぎて
おばあちゃんが入院(にゅういん)した
痩(や)せて細(ほそ)くなってしまった
おばあちゃんに会(あ)いに行(い)った

「おばあちゃん、ただいまー!」ってわざと
昔(むかし)みたいに言(い)ってみたけど
ちょっと話(はな)しただけだったのに
「もう帰(かえ)りー。」って 病室(びょうしつ)を出(だ)された

次*つぎ)の日(ひ)の朝(あさ) おばあちゃんは
静(しず)かに眠(ねむ)りについた
まるで まるで 私(わたし)が来(く)るのを
待(ま)っていてくれたように
ちゃんと育(そだ)ててくれたのに
恩返(おんがえ)しもしてないのに
いい孫(まご)じゃなかったのに
こんな私(わたし)を待(ま)っててくれたんやね

トイレには それはそれはキレイな
女神様(めがみさま)がいるんやで
おばあちゃんがくれた言葉(ことば)は 今日(きょう)の私(わたし)を
べっぴんさんにしてくれてるかな

トイレには それはそれはキレイな
女神様(めがみさま)がいるんやで
だから毎日(まいにち) キレイにしたら 女神様(めがみさま)みたいに
べっぴんさんになれるんやで

気立(きだ)ての良(よ)いお嫁(よめ)さんになるのが
夢(ゆめ)だった私(わたし)は
今日(きょう)も一人で(せっせと)トイレを
ピカピカにする

おばあちゃん
おばあちゃん
ありがとう
おばあちゃん
ホンマに
ありがとう

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